パンの耳

天童よしみ( 天童芳美 ) パンの耳專輯

1.パンの耳

作詞:山本茉莉
作曲:大谷明裕

ジングルベルが 鳴る頃は 売れない歌手も 稼ぎ時
あの夜は日野から 八王子 スナックまわり歌ったわ

お呼びがかかる それまでは お店の裏が控室
冷たい風に 肩を抱き ビールケースに埋もれてた

寒い夜 あといくつ 越えれば 夢が叶うやら…

「お疲れさん」とマスターが 放って投げた パンの耳
サンドウィッチの 切れはしを 油で揚げた パンの耳
あ〜くやしいね みじめだね マスター悪気ないけれど
いつかは売れてやるんだと 心に誓った夜だった

ドレスに上着ひっかけて お店をあとにする夜更け
千円札のご祝儀は 三軒分で片手だけ

買う人もない カセットを 鞄にうんと 詰め込んで
今日こそ気前のいい人に 会えるか、なんて 甘かった

ため息は やめにしよ 幸せ逃げてしまうから…

だぁれもいない公園の ベンチに座り あおぐ空
ひとくち食べた パンの耳 砂糖のついた パンの耳
あ〜シャクなのに 懐かしい 子供の頃が よみがえる
給食のこして帰るたび 母さん作ってくれたっけ

「お疲れさん」とマスターが 放って投げた パンの耳
サンドウィッチの 切れはしを 油で揚げた パンの耳
あ〜くやしいね みじめだね マスター悪気ないけれど
いつかは売れてやるんだと 心に誓った夜だった